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会長挨拶

ご挨拶
新世紀人文学研究会会長
田中寛
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 写真は五四新文化運動の発祥地、中国・北京大学紅楼跡地にて。🄫2019.9​

 新世紀人文学研究会は自由と民主を基調とし、その名の通り新世紀における人文科学の学問的進展と言語文化、歴史、文学方面の研究・教育者の育成をはかり、学際的、国際的な連携をはかることを目的として、2017年に発足しました。すでに多くの学術団体、研究会のある中で本会がめざそうとするのは、新世紀の人文科学研究の開拓にほかなりません。植民地教育史研究を中心としながらも言語文化、および文学、歴史研究をも視野に入れ、世界人類の融和と知見の交流を深化させ、よって、新たな人文科学研究の領域を切り拓くことを目的としています。具体的には年次研究大会、研究会の開催、学術研究誌『新世紀人文学論究』の刊行、また時期に応じて国際的なシンポジウムの開催を企画してまいります。

 今、世界は歴史の大きな転換点に立っています。そして実学が優先され、人文科学の学術が細く弱くなってきている一面も指摘されています。私たちは価値観の相違を超えて互いの文化風土、歴史観を尊重しながら、普遍的な価値観の共有創成に向かって進めてまいります。これまで内外の研究者のご支援、ご協力をいただき、数次にわたる国際シンポジウムを開催してまいりました。その内容は高い評価をいただいています。引き続き、国内のみならず広く東アジア、東南アジア、欧州の研究者、友人との<知のネットワーク>を形成し、新世紀の人文主義の新思潮、新潮流を構築していきたいと思っています。

 私は大学では中国近代思想を学び、とりわけ清末から民国初にかけて日本に来日する留学生の実態、また新文化運動に挺身した思想革命家李大釗に共鳴し、近代中国の夜明けに大きな関心を持ってきました。大学卒業後は海外技術者研修協会(当時)に就職、世界各国から来日する技術研修生に接し、異言語異文化の現場に身を置きました。その後タイに出向、はじめて長期にわたり異言語異文化接触を直接体験する機会にめぐまれました。帰国後は間を置かずして中国湖南省の大学に外国籍教員として招聘され、念願の近代中国の夜明けの源泉である地、長沙で過ごすことができました。大学教員になって以降も長く留学生教育に携わり、また2004年と2016年には英国ロンドン大学学術訪問員として滞在、東西文化の交流を思索する機会となりました。こうして得られた多くの方々との出会い、体験をぜひとも若い世代に継承したいとの思いから、本研究会を発足させました。微力ではありますが、世界の恒久平和に寄与する人文科学の研究を積極的に進めていきたいと願っています。

 皆さまのご理解とご支援、ご指導をよろしくお願いいたします。

▶田中寛会長最終講義(於大東文化大学)私の日本語教育、日本語研究のあゆみ

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